回顧ヒストリー26 ハッタリ

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夕暮れの長崎 浜の町

長く続くアーケード街をくぐり

エンペラーとの待ち合わせ場所へ

急ぎ足で歩く。

銅座方面の繁華街へ向かうにつれ

通りにポツリポツリとネオンが灯り出す。

 

この日はエンペラーマンドンさんと約束した「キャバレーニュー桃太郎」へ呑みに行く日だ。

 

待ち合わせ場所は

思案橋入り口付近にあるレストラン「ゴールデン思案橋」。

客もまばらなピーク前のレストラン内へ入ると

エンペラーは広いテーブル席を陣取り

すでに一杯ひっかけていた。

 

「おー!かつのしん、ひとまずメシ食って行こうや」

「ラジャー!」

 

もう赤ら顔でゴキゲンモードのエンペラーと腹ごしらえを済ませ

 

燃料が充填したエンペラーマンドン号の大船で出発するかのように

 

「行くぞ!」

「ラジャー!」

 

マンドン号は思案橋通りへ入って奥の方にあるキャバレーニュー桃太郎へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紳士のワンダーランド

 

階段を登り自動扉の向こうに

広がるおとぎの国は

相変わらずの盛況ぶり。

さすがは紳士のワンダーランドだ。

 

 

 

 

らせん階段を登り中2階の

赤いソファー席に通される。

若くて可愛らしいコンパニオンがついてくれ、喜びでマンドンさんの目が細くなった。

 

水割りを作ってくれたり、タバコに火をつけてくれたり

紳士のワンダーランドでちょっと背伸びした気分にさせてもらう。

 

 

 

 

 

 

バンドレス?

 

本日のメインショータイムはソフト・ストリッパー 。

場内に大音量のオケで「キャラバン」が流れ出し

ステージからは、ストリッパーの妖艶なダンスが繰り広げられる。

 

暗い中にフラッシュが瞬いたり、ピンスポットのカラーをグルグル回したり

その魅惑の世界へと引き込んでいく照明の演出は

僕がボウヤで通っているキャバレーミナミの照明とは大違いだ。

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紳士のワンダーランドらしく

肌を露出しすぎない程度のラストを飾り

拍手喝采の中、メインショーの緞帳が閉じていく。

 

 

「やっぱりよかですねー」

「かつのし〜ん」

 

マンドンさんの笑顔で目がまた細くなった。

 

しばらくすると

再び、緞帳が開き

大音量の明るいポップミュージックのオケが鳴り出す。

 

女性専属歌手の登場だ。

「中森エマ」「R子」が時間帯を分け交互に歌うタイムテーブルとなっている。

 

ステージからは同年代くらいの女性ボーカルR子が明るく歌い出し

背が高く見栄えもいいのだが

やはりオケを使っている。

 

 

 

???

 

 

 

キャバレーミナミでは生バンド入って歌っているのに

 

なぜこのお店ではオケしか使わないんだろうと疑問が頭をもたげた。

 

 

ハッタリ

 

ステージにドラムセットとかギターアンプとかあるのに

前回と同様、

なぜバンドが出ないんだろう?

 

 

 

その時!

 

ピーーーーンと頭の中で閃いた。

 

もし、バンドがいないのなら僕らのバンド使ってもらえないだろうか!

 

 

 

 

 

照明室にマネージャーらしき人物の姿が見えたので

早速照明室に向かい、覗き込んで聞いてみた。

 

「生バンドは入ってないんですか?」

 

 

最近までいたバンドが辞めたのか

どうなのか

理由は言いたがらない感じで

あんまり突っ込まない方が良さそうな雰囲気の中、

 

「実は僕、バンドやってまして・・」

 

「こちらのお店に出演させてもらえませんか?」

 

単刀直入に切り出した。

 

すると、マネージャーらしき人は

こいつどこの馬の骨か?みたいな顔してたので

 

「僕のやってるバンド、横道坊主と言いまして、、」

 

とにかく聞いてもらうよう仕向けた。

 

「横道坊主とかいったら長崎では知らないものはいないんですよ」

 

ついこの間、初合わせしたばかりなのに・・もう、ここはハッタリだ。

 

「長崎で一番のバンドなんですよ」

 

程よいアルコールも手伝って、

ハッタリにつぐハッタリ。

口から出まかせ状態だ。

 

「なんてったってうちには長崎一のチョッパーベースもいますから」

「え?知らない?」

 

こいつ何者?みたいな怪訝そうな顔に変わっていく様が見てとれるが、

ここで引いたらダメだと思い

 

「もう聴いてくれればわかりますよ」

「ホント絶対、後悔させません」

 

めちゃくちゃハッタリだったが

自信はあった。

横道坊主なら絶対盛り上がるだろうと思った。

この前スタジオで初合わせしてイケると思った。

 

もうここはチャンスとばかりにハッタリにつぐハッタリ。

そう、あのバイブル「成りあがり」で学んだ矢沢のハッタリ攻撃だ。

 

ハッタリ攻めが10分くらい続いたのち

 

「じゃあー・・」

「一週間後、オーディションするから来て下さい」

 

「ハイ、わかりました!」

 

あまりにしつこかったから

取り敢えずの空返事だったのかそこんとこ定かではなかったが

 

「ありがとうございます!!」

 

(ヤッターーー・・)と

飛び上がりたい気持ちを抑えながらクールに席に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continued・・

 

 

 

 

 

 

 

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