回顧ヒストリー 37 どうしようもない恋の唄

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中洲モモタローに転勤?」

 

中洲といえば、福岡の大繁華街。

 

ここ長崎思案橋から、支店の福岡中洲モモタローへ

近々転勤になるかもとあの娘が言ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急な展開で

事の成り行きをよく理解できない僕は、その転勤話に

「・・あ、そう」

としか答えられなかった。

 

 

この時

「僕も一緒に行くよ」と言うべきだったのか、

「バンド辞めて君と一緒に行くよ」と言えばよかったのか、、

 

この頃、恋に慣れてない僕としては

女ゴコロというものはよくわからない。

 

これは試されているのか?

「バンドをとるの?私をとるの?」という暗黙の選択をもしかして迫っているのか??

 

しかし、やっと掴んだ掛け持ち演奏の仕事や

今井オリジナル第3弾の【La.La.La】も完成しようとしてて

「早ようオリジナル仕上げてみんなに聴かせたかなー!」とメンバーみんなで盛り上がってる程、バンドは絶好調なのに

バンドを辞めようなんて気持ちは、これっぽっちもなかった。

 

 

「中洲モモタローに転勤するかも」

 

次の日、あの娘が再び僕に言ってきた。

恋に慣れていない僕には、女ゴコロというものがわからない。

「バンドをとるの?私をとるの?」と言わんばかりの選択を迫っているのか・・

どうやら僕にはそういう運命が付きまとうのだろうか・・

例の正樹の「ヘビメタばとるとや!、ロックンロールばとるとや!」に匹敵する

【究極の選択】を、またここで強いられているように感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私やっぱり中洲に行くかも」

 

ついに僕からのファイナルアンサーを聞きたがってるあの娘。

 

「私やっぱり中洲に行くかも」イコール「バンドをとるの?私をとるの?最終決定は?」

と、勝手に解釈している僕は

 

 

「バンドば・・いや、君を・・@¥#%&’=?¥・モゴモゴ・・」

 

 

 

やっぱりモゴモゴした返事しかできなかった。

 

 

この時点で、もうお店に二人が付き合ってる事がバレてると認識すべきだったのだが

無警戒な僕には時間がかかり過ぎた。

 

 

そもそも彼氏がいるあの娘

略奪して一緒に住もうと考えたけど

当時の僕の経済事情でアパート借りるなんて、到底無茶なことだった。

無力な自分を恥じていた。

そんなはっきりしない僕に、彼女はいよいよ愛想を尽かしていたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう相当、彼女を好きだったが

何もしてやれない無力な自分自身に萎えていた。

 

 

 

♪お前は疲れて静かな寝息の中

深い眠り街はまた重い空気流す

 

俺はお前に何もしてやれない

Baby  いい加減この街も 色褪せてミッドナイトブルース

Baby  行こうかどこかへ この街捨てて二人で♪

(ミッドナイト・ブルース by 横道坊主)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついに、彼女も業を煮やしたのか

その日は近づいた。

 

 

濁した返事しかしないから

とうとう電話にも出なくなった。

もう僕と会ってくれなくなっていた。

 

 

 

 

お店ニューモモタローから二人の関係がとうとうバレたのか

バンドに対する対応も

しだいにあからさまになってきた。

 

 

いつしかお店側は、フィリピンバンドや日本人のフルバンドを新しく雇い、彼らの出番が僕らより増えていた。

 

モモタローでの出番が少なくなり、掛け持ち演奏で他店へ出かけていく僕らを横目に

新入りの彼らがいつのまにか楽屋を牛耳り

僕らの居場所は次第になくなっていこうとしていた。

 

 

 

ブルー・オーシャンからレッド・オーシャンへ

 

今までのモモタローでのパラダイス感は、まるで色を変えるように

 

新しく入ったバンドへ、世代交代していく様が手に取るようにわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♪今夜もオイラ やけっぱちで

あの娘のうわさをきいて

やっぱりオイラ ひとりじゃダメなんだ

OH YEAH 戻ってきてよ

 

あの娘はとても 気まぐれで

目を離すといつも

オイラの背中にツバをかけて

OH YEAH 逃げていくんだ 逃げていくんだ ♪

(どうしようもない恋の唄 ザ・ルースターズ)

 

 

 

 

 

とにかく彼女と会いたい。

 

会いたくて会いたくてどうしようもなかった。

 

 

とにかく話をさせてくれないかと

なんとか

彼女と待ち合わせる約束を取りつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついに次回、最終回・・

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continued・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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