![](https://i1.wp.com/uk6983.com/wp-content/uploads/2017/08/IMG_4790-1.jpg?resize=728%2C898)
「あ、あ、明日から来てくれ」
さっきまでソファーでふんぞり返っていたマネージャーたちが
ステージ前まで駆け寄り
いつのまにか目の前にいた。
「明日からですか。わかりました。
ヨロシクお願いします。」
オーディションに合格した嬉しさで
ホントは飛び上がりたい気持ちだが
ここは、自称「長崎で一番のバンド」らしく
クールに受け応えた。
ギャラは今考えたらとてつもなく安かったが
人前で演奏出来てギャラを頂くお仕事にありつけた喜びと
灰色の福岡時代からやっとのこさ
この場所へたどり着いた喜びが
この時、じわじわと溢れてきていた。
「ありがとうございます!では明日!」
ホントはメンバーとこの瞬間も喜びを分かち合いところだが
去り際もクールに演出した。
西日本最大のマンモスキャバレー「ニューモモタロー」。
深夜のローカルCMにもガンガン流れている「ニューモモタロー」。
弱冠20歳にして
明日からここでバンド・ミュージシャンとして出演する切符を
手に入れた喜びを
ひしひしと噛み締めながら
階段を降りる4人。
ニューモモタローの階段降りきった入口付近のすぐのとこで
ある男とバッタリ会った。
![](https://i0.wp.com/uk6983.com/wp-content/uploads/2017/08/IMG_4938.jpg?resize=146%2C166)
タンゲ
「おーーーーっ!」
ある男、その名もタンゲと、
今井は久しぶりの再会だったのか
二人ともハトが豆鉄砲食らったような顔をしている。
僕はタンゲとはその頃面識はなかったが
タンゲという男、長崎では少しばかり名が売れていた。
当時の長崎にはいくつかの暴走族があり
「異邦人」「A DAY」「デビル」「昭和連合」etc
その中でも暴走族リーダーの「ヤンケ」と「タンゲ」はよく聞く名前であった。
そのタンゲと今井は知り合いみたいで
なにやら話している。
聞けば
「サイドギターやらんや?」と
バンドにタンゲを勧誘しているところだった。
リーダー今井は、この横道坊主にサイドギターが必要と思ったのだろう。
この偶然の再会を「これも何かの縁」と思ったのか
今井はいわば強引にタンゲを勧誘していた。
タンゲにとっても
たまたま思案橋を歩いていたら
偶然、今井のいる横道坊主に会って
いきなりサイドギターにさせられようとしている。
なんともヒキが強い男である(笑)
タンゲはそのことを快諾し、明日からメンバーとして出演する事になった。
こうやってサイドギターにタンゲを迎え
横道坊主は五人のバンドになった。
![](https://i1.wp.com/uk6983.com/wp-content/uploads/2017/08/IMG_4936.jpg?resize=620%2C465)
それからその夜は
みんなで喜びを分かち合い
今井と正樹と僕は
お祝いモードで
眼鏡橋の近くにあるライブスケッチへ呑みに繰り出した。
![](https://i0.wp.com/uk6983.com/wp-content/uploads/2017/08/IMG_4937.jpg?resize=686%2C456)
夜風が心地よい。
街中の至るところでチェッカーズの
「涙のリクエスト」が流れていた夜だった。
トリオからスタートした3人のメンバーは
この縁と
これからのワクワクする希望に胸踊り
何度も乾杯を繰り交わした。
また、何ヶ月か前に
僕が田中荘で正樹に
「ロックンロールとヘビーメタルのどっちをとるとや!?」
・・・なんて
詰め寄られたことは
この頃には僕も正樹もとっくに忘れていた(笑)
♪最後のコインに祈りを込めて
Midnight DJ
ダイヤル回すあの娘に伝えて
まだ好きだよと
トランジスタのボリューム上げて
初めて二人 踊った夜さ
さよならなんて
冷たすぎるね ひどい仕打ちさ〜♪
![](https://i2.wp.com/uk6983.com/wp-content/uploads/2017/08/IMG_4932.jpg?resize=158%2C234)
to be continued・・
![](https://i0.wp.com/uk6983.com/wp-content/uploads/2017/08/IMG_4603-1.jpg?resize=728%2C852)