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僕ら4人は原楽器のスタジオを出て
思案橋通りへと歩いていた。
今からオーディションを受けるキャバレーモモタローへ
胸をときめかせ、意気揚々に歩いた。
よしよし、予定通りだ。
キャバレーモモタローに出演決定となったら
本格的にヒストリーの幕開けだな。
もう受かったものと決めつけ
これから先の活動のことを勝手に画策していた。
矢沢もこんな気持ちだったのかな・・
矢沢も昔は蒲田のキャバレーウラシマに出てたんだ。
ビートルズだってハンブルグでの下積み時代があったはずだ。
今回のオーディションの話は
バンドで成りあがるための
チャンスを掴んだ気持ちだった。
僕自身、BURNで文化祭初ライブをし、
「成りあがり」読んで高校辞め
ジュリエットを経て
グランドクロス、アイアン●ニス
いろいろ経験し、
今、ようやく
ハタチそこそこで
バンドで毎日演奏できるかもしれないチャンスに辿り着いた。
そうさ、バンドというのは最初はライブの毎日の下積みから始まるんだ。
ライブもせずにスタジオで練習ばかりはもうゴメンだ。
ライブにまで発展しないグランドクロスのM木とは
自然にフェイドアウトしていた。
人前でやらんと。
とにかく人前でやってナンボだからな。
もうオーディションに受かるものとばかりに
思い込みが先走る。
さあ、ヒストリーの幕開けじゃー!
いよいよキャバレーニューモモタロー到着。
ときめきは加速する一方だ。
![](https://i2.wp.com/uk6983.com/wp-content/uploads/2017/08/IMG_4641.jpg?resize=146%2C166)
オーディション スタート
営業前のキャバレーニューモモタロー。
まだ照明のついていない薄暗い店内へ入り
マネージャーと長崎支店長の2人に
奥のステージへと案内された。
セッティングが整った頃
先日マンドンさんと楽しく乾杯しまくったソファー席の並ぶ一番前の赤いソファーに
マネージャーと長崎支店長の2人の男らはドデーンと座り
あまり期待もしてなさそうな顔して腕組をしていた。
「じゃ どーぞ」
テンションの低いGOサインが出される。
オーディションスタートだ。
キャラララ ララララ
キャラララ ララララ
キャラララ キャラララ・・
バスドラムと今井のギターが
営業前の薄暗いキャバレーに鳴り響く。
When I was just a little boy〜♪
You know my one and only joy
Was listening to the Good Old Rock’n’Roll〜♪
一曲目から勢いよく「グッドオールドロックンロール」。
義人もめっちゃノッてるし
バンドもサイコー!
つかみはオッケーだな!
しかし、
マネージャー達は無表情のままだ。
立て続けに次の曲。
ワンツースリーフォー!
♪Oh baby たまらない
たりないお前に首ったけ
オイラを愛してくれるなら
なんでもお前の意のままに
なんでもお前の意のままに♪
「フールフォーユー」が終わる頃
ドヤ顔チックに
マネージャーの方を見てみるが
ピクリとも表情を動かさない。
「・・・。」
そこへ
「次の曲・・、つ、つ・・」
「次、行くぞ」
と正樹。
林田正樹、またの名、
ゴールデン林田の口から発せられる
「次、行くぞ」の号令は
この頃から誰も逆らえない(汗)
オッケー!ワンツースリーフォー
チャ〜ン チャラララ ラ〜ン
チャラララ ラ〜ン♪
メロディアスに歌うギターを今井が奏でる
チャラララ チャッ チャチャ〜
チャ〜 ラララ〜ン♪
♪初めて君を見つけて Oh yeah〜
毎日 思い焦がれて crying day
まだ 何も知らないけれど
Woh Woh Woh Woh
今日から僕の恋人〜♪
ワイルドだけど切ない義人の声にピシャリとハマる「ハニーラブ」が終わる頃
マネージャー達の閉じられた口から
ようやく沈黙が破られた。
「・・あ、あ、あしたから来てくれ」
to be continued・・
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