「スタジオ入ろうで〜」
今井の構想のもと
「横道坊主」と名付けられた新しいバンド
今井、正樹、僕
そしてボーカルに義人を迎えた4人は
スタジオで初の音合わせをした。
ドルラトントンントト ラトントン タタン! (←イントロ ドラムフィル)
ギャッキャーン ギャッキャーン
ギャッキャーン♪ (←ギター)
タカタ タカタ タカタ タカタ タン!(←ドラム)
♪あの娘はとても〜気まぐれで
目を離すといつも
オイラの背中にツバをかけて
Oh yeah 逃げて行くんだ〜♪
(どうしようもない恋の唄 ルースターズ)
初合わせの4人の音はいい手応え。
正樹のベースもトゥーントゥーンと唸り
今井のギターソロも歌いまくる。
原楽器のスタジオ内はグルーブした。
ロックンロールした。
初めて聴く義人の声もめちゃめちゃ良く
ボーカリストらしいボーカルという感じ。
しかもロックンロールしている。
さすがは元々ギタリストだから
ツボを心得ている感じだ。
「次、フールフォーユーな」
「オッケー!ワン ツー スリー フォー!」
ギャーン
ギャーン
ギャーン(←ギター)
♪OH Baby〜たまらない
たりないお前に首ったけ
オイラを愛してくれるなら
なんでもお前の意のままに
なんでもお前の意のままに〜♪
(フールフォーユー ルースターズ)
スタジオは4人のアツい音でグルーブし続けた。
バンドらしいバンドが誕生したその日、
新しい音をお互い確認し合いながら
何かしら言葉に出来ない喜びが溢れ出し
これから先、なにかワクワクする事が起こりそうな予感がしたのは
メンバーみんなも同じだったと思う。
スタジオを出ても
楽器を抱えながらメンバー4人の笑いが絶えない。
「なかなかよか感じやね」
「おー、なかなかなか」
「泡、呑みに行こうか🍻」
「あわつんなよ」
帰り道も
4人のハードルの低いジョークは飛び交い続けた。
夕暮れの鍛冶屋町通り
みんなと歩きながら
いいバンドだな
心からそう思った。
エンペラー号令
その翌日からの僕は
いつものように出前とキャバレーでボウヤの掛け持ちの日々。
キャバレーが終わる深夜0時になると裏口でいつものように
寅さん似の満面の笑顔で
エンペラーマンドンさんが待っている。
「かつのし〜ん、行こうで🍻」
そんな日常であった。
そんなある日、エンペラーから
「かつのし〜ん」
「桃太郎行こうで!」
「マジですか」
「桃太郎行きましょ、行きましょう!」
エンペラーから再びの
【マンモスキャバレーニュー桃太郎】
への号令がかかった。
僕は喜びを抑えられず
尻尾を振り出し
その日が来るのを楽しみに
指折り数えた。
桃太郎、 再び
おとぎの国、ニュー桃太郎。
その日、夜は前もって休みをもらい
思案橋でエンペラーマンドンさんと待ち合わせをした。
to be continued・・