回顧ヒストリー 19 〜ロックンロールばとるとや、ヘビメタばとるとや?〜

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「蘭丸団」のヤマジュンの名は、長崎のバンド仲間内でも轟いてて有名だったし、

ハードロックをやってたので「ヤマジュン」という男は、僕の中でも気になる存在だった。

 

そんなヤマジュンが、ツーバスを叩く僕を見てくれてた「グランドクロス」ライブの後日、
偶然どっかの街でバッタリと会い、そこから意気投合したのがヤツとの付き合いの始まりだった。

 

長崎大水害以降、仲間の家を転々とする【ジプシー民族】と化してた僕が

ヤマジュンの家へと辿りつくのにそう時間はかからなかった。

 

 

ジプシー梅本

 

正樹、太郎の住む宿町あたりから

何日か後、ようやく道路が復旧開通したので

ホッと胸を撫で下ろし、再びフェアレディZを長崎へと走らせる事に。

 

 

緑の山々を越える山間の道の途中にもまだまだ復旧工事地区もある。

 

大曲あたりにある赤い屋根の【リンガーハット1号店】は見たところ無事なようだ。

 

遠く網場の海を見降し、日見トンネルをくぐり抜け長崎市内へと入っていく。

 

何日か経ったあとだから被災の爪痕はそんなにわからなかったが

ようやく辿り着いた長崎の街に思慕の念は深まるばかりだった。

 

祖父や親戚の無事を確認し

次に正樹と一緒に向かった先は

小島にあるヤマジュンの住む田中荘だ。

 

 

 

田中荘

 

田中荘のヤマジュンの部屋にはリューキンも住んでいた。

ラウドネス、レイジーをカバーするハードロックバンド「蘭丸団」のボーカル、リューキンだ。

ヤマジュンはその「蘭丸団」でドラムを担当していて

正樹がベースをやる事もある。

 

田中荘の部屋にはドラムセットはあるし、

毎夜、毎夜が仲間の溜まり場。

 

正樹はもちろん、かじくん、せいいち、今井、他にバンドの仲間や

夜の夜中になると、酔っ払ったヤマジュンの先輩ギャングコンビ

「ゴン&ガマン」が押しかけ

 

「エ〜ビバ〜ディ バンド♪」と

 

真夜中だというのに、部屋のドラムを大音量で叩き出すという襲撃事件(笑)など

 

田中荘の毎日はすごく楽しかったし、面白かった。

 

僕は気づいたらその田中荘のヤマジュンの部屋に勝手に居候して根っこが生えていた。

 

 

ありがとうございます、メルシーでございます!

 

居心地よくさせてもらっていたうえに親切なヤマジュンから仕事まで世話してもらった。

 

レストラン「メルシー」で調理見習い兼出前の仕事だ。

 

ヤマジュンもそのお店「メルシー」の出前部隊。

僕は「メルシー」仕事初日から積極的に出前の電話を取り

「ありがとうございます!メルシーでございます」

と応対した事が、つかみはOK!

すぐさま「メルシー」のマスターに気に入られた。

 

そのうちに、マスターの口利きで思案橋にあった【キャバレーミナミ】でドラムの練習場所を提供してもらう事にも繋がった。

 

ヤマジュンを通して、何から何までお世話になり感謝、感謝の日々が続いていた。

 

 

ROCK’n’ ROLL or HEAVY METAL?

 

そんな長崎に来てからのある日の事、

いつも数人はいる田中荘でいつものようにワイワイ盛り上がっていた。

 

その日はノリで

「ヘビーメタルバンドやらんや?」

って話になり、盛り上がっていた。

 

「アイアンメイデンばやろうで!」

 

「おー!やろうで!やろうで!」

 

僕はヤマジュンとリューキンとで盛り上がってたのだが、、

 

 

すると、突然!

 

 

そこに遊びに来ていた正樹の口から

思いもよらない言葉が僕に投げかけられた。

 

 

 

 

「なんやワイは!ロックンロールばとるとや!

ヘビーメタルばとるとや!!」

 

 

 

 

「・・・。」

 

 

 

 

田中荘に、衝撃と沈黙が走った・・

 

 

 

ロックンロールをとるのか、ヘビーメタルをとるのか、どっちにするんだという選択を迫られた。

 

 

 

 

そうなのだ。

正樹と今井とのロックンロールトリオバンドの事も忘れてはならない。

 

ヤツらは諫早のアメリカンに遊びに来てくれた事もある。

 

復旧工事通行止めで足止めをくらい、

路頭に迷った時の正樹の家での「一宿一飯の恩義」も忘れてはならない。

 

元はといえば、正樹を通じて田中荘に世話になる事になったのだ。

 

なにより、正樹にはハンバーガーを2個奢ってもらった事もある。

 

そして、今井にはしょうが焼きランチを奢ってもらった事もある。

 

 

 

が、しかし、

何から何までお世話になってたヤマジュンの手前もある。

 

 

 

 

そう、僕はいつもハードロックとロックンロールの狭間にいたような気がする・・

 

 

 

 

さあ、どっちを選ぶんだ!?という不穏な空気に

 

 

 

僕は

 

 

 

 

 

 

 

「ヘ、へビーメタルばとるけん」

 

 

 

 

 

「・・・。」

 

 

 

 

 

 

田中荘に長い沈黙が続いた。

 

 

 

 

正樹は、、

 

 

 

 

 

 

正樹は、、

 

 

 

 

 

 

 

田中荘の部屋の隅っこでイジけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continued・・

 

 

 

 

 

 

 

 

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