回顧ヒストリー11

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軍手をはめてもジンワリと手のひらに冷たさが伝わってくるほど

芯から冷たい鉄パイプの足場をよじ登る。

 

ここまで登ってくれば

さすがに風にも強く晒され、

更に冷たさを増してくる。

 

途中の階までしか組み立てられていない一番上の足場へ立ち

隙間から下を覗くと

作業員が行き来している姿が

小さく見え、またヒヤリとする。

 

指定された現場先は

足がすくむくらい高所での足場作業。

 

なるべく下を見ないように

冷たく重い鋼管を肩で担ぎ、

細い足場をバランスをとりながら運ぶ。

 

安全帯を何度も確認し

異形や直交、自在といった何種類かのクランプで足場を組み立てていく。

 

もともと高い所は苦手なので、

よけい神経が磨り減って

帰るときはヘトヘトでずっと口は閉ざされたまま無言の状態だ。

 

自分のほうが冷たい鉄と鉛のようになったかのようである。

 

 

帰ったら帰ったで

住み込みの部屋にはいろんな奴が住んでいた。

ブツブツひとり言を言い出す男や

アル中の男、

いつもラリったような顔してる男、

ナイフをチラつかせる男。

まともな奴なんかほとんどいやしなかった。

 

夜になると寝てるうちにいつか襲われるんじゃないかと

神経がいくつあっても足りない思いだった。

 

休みもなかなかとれない。

深夜の現場に行かされたり

残業、残業で

仕事だけに追われてしまう日々・・

とてもじゃないけど

音楽どころじゃなかった。

 

俺は何の為に福岡に来たんだ?

 

音楽のために来たんじゃなかったのか?

 

描いた夢へはいっこうに進むことができない。

 

矢沢の「成り上がり」どおりに行くはずだと思いこんでいたが

そんなストーリーなんて夢のまた夢。

 

歯痒い現実に

苛立ちが募る日々。

 

音楽どころか、メンバー探しさえする時間もロクにない。

 

これ以上ここにいると

間違いなく方向性を見失なってしまうような危機感に襲われていた。

 

 

 

 

三月ほど経った頃

気がついた。

 

 

まずやっぱり長崎でメンバーを探して

バンドを作るしかない。

 

 

 

それからでも遅くない。

 

 

それから東を目指そう!

 

 

 

作戦変更だ。

 

 

 

まずは、メンバー探しの方がなにより優先だというごくごく当たり前な事を痛感した僕は

その土木事務所を即辞めさせてもらい

いったん引きあげ。

 

長崎に帰る事にした。

 

 

 

結局、建設現場としか縁のなかった

灰色の福岡の街は

二度も

志し半ばで撤退する僕を

まるで嘲笑うかのようだった。

 

 

 

見とれよ!

また必ず来るからな!

 

 

 

バンドで再び行って絶対リベンジしてやる!

 

 

と、心でタンカを切り

リベンジを胸に誓い

長崎行きの列車に飛び乗った。

 

 

 

 

 

 

 

♪あなたとの想い出は 心に 今も

消えては また浮かび

いつ いつまでも♪ (by追憶 クールス)

 

 

 

 

 

 

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長崎へ帰った。

 

 

 

長崎へ戻ったら

一番にヤツに会いに行った。

 

 

 

 

前回、一緒に家出した男、Hである。

クサいタコ部屋で夢を語り合ったH、

通称ホーバーだ。

 

 

 

 

 

♪暗く狭いあの屋根裏部屋で見た

夢はとても美しかったよと♪ (by 親友      矢沢永吉)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホーバーは例の家出の件で長崎に連れ戻されたあと

僕より先に高校を中退した。

 

 

 

そのホーバー、

僕との久しぶりの再会を心から喜んでくれた。

 

 

 

福岡での苦労話をホーバーに聞いてもらい

幻で終わろうとしていた二人のバンド

「ジュリエット」の話を持ちかけた。

 

 

 

 

 

「ジュリエットのメンバーやけどさ、長崎の仲間で探そうや」

 

 

 

 

おー!それなら!と

ホーバーは、幼馴染のふっちゃんのとこに連れて行ってくれた。

 

 

ふっちゃんにメンバーを探してるという話をしたら

 

 

「そいやったら、長崎で一番の

【チョッパーベース】ば弾ける男がおる。」

 

と言う。

 

 

 

 

チョ、

チョッパーベース?!

 

 

 

 

なんだか大がかりな展開になり(汗)

はやる気持ちを抑えられない僕は

そいつの電話番号を教えてもらい

その場で即電話をかけさせてもらった。

 

 

 

 

「あ、もしもし」

 

 

「はい、もしもし」

 

 

相手が電話に出たので

僕は意気揚々に切り出した。

 

 

 

 

 

「アンタが 長崎一の

チョッパーベース

林田正樹くんね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continued・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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