回顧ヒストリー36 ミッドナイト・ブルース

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♪お前は疲れて  静かな寝息の中

深い眠り 街はまた重い空気流す

 

Baby いい加減この街も 色褪せてミッドナイトブルース

Baby 行こうかどこかへ この街捨てて二人で♪

 

 

 

 

 

この頃になると、今井作詞作曲第2弾のオリジナル

スローバラードの

【ミッドナイト・ブルース】が完成しようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

パブ「原宿」

 

【横道坊主】の名前はいつしか

思案橋界隈で勝手に一人歩きし

僕ら目当てのお客さんもちょくちょく来店し、指名される事も多くなっていた。

 

ある日のこと

連日大盛況のニューモモタローのステージの合間

楽屋でくつろいでいるとインターホンから連絡が。

 

「お客様がお呼びです」

 

「誰やろ」

 

義人と僕で呼ばれたテーブルへ行くと

ソファーに座って待ってた人は初めて見る顔だ。

 

「どーも」

 

「あーいやいやいや、ま、どうぞどうぞ」

 

と、瓶ビールを注がれ

 

「唐突ですがウチでも出演してくれませんか?」

 

「?!」

 

 

なんと、他店からのスカウトだった!?

 

 

 

 

 

 

「え?どちらのお店ですか?」

 

聞けばなんと!ここニューモモタローの隣にあるお店だと。

 

パブ「原宿」という、ここのキャバレーよりはかなり小さいが、たしかにそのお店は隣にあった。

 

僕らより先輩のバンドは、夜のお店を転々と掛け持ち演奏して稼いでいたと聞く。

「そんな時代はもう終わったけどな〜」

と、その先輩たちはつけ加えていたが・・。

 

そうか、今でも稼げるチャンスかも・・

 

「おいくらで出てくれます?」

 

と、切り出してきたので

 

「えーと、・・」

 

僕がモモタローのギャラの値段くらいで答えようとすると

 

それを遮るかのように?!

 

身を乗り出してきたのは?!

 

義人だった!?

 

 

 

「◯◯◯◯◯円でどうでしょう?」

 

 

義人はここはとばかりに

モモタローのギャラの2倍の値段でフッかけた。

 

 

「うーん、そうですか、わかりました、明日からお願いします」

 

「ハイ、ヨロシクどーぞ」

 

 

なんかトントン拍子に決まってしまった。

 

 

 

楽屋に戻り

「やったなー、さすがやな」

「こーゆー場合はフッかけんばさ」

と、得意げな顔の義人(笑)

 

「おー、そーや〜、勉強になったばい」

「やろーでやろーで」

「おー、稼ごーで」

「ここだけじゃ安かもんな〜」

「よっしゃー、今までの3倍稼ぐばい!」

 

義人は鼻高々にメンバーみんなとハイタッチをし、喜びを分かち合った。

 

 

 

掛け持ち

 

それからというもの

モモタローの1Stage終わったら、いそいそと裏口を出て

鉄の階段をカンカンカーンと下り、隣のパブ「原宿」へ。

その「原宿」が終わったらまたカンカンカーンと階段を登り「モモタロー」へ戻って演奏。

2Stage目終わったらまた「原宿」へ。

 

モモタローと隣の店を往復する掛け持ち演奏回りが始まった。

 

目が回るような毎日。

急ぎ足で「原宿」へと向かおうとする時にも僕は、モモタローにいるあの娘の姿を探した。

 

 

 

 

 

目を凝らし薄暗いホールにいるあの娘の姿を僕の<つぶらな瞳>が追う。

そしてあの娘と目が合えば、僕の<つぶらな瞳>でウィンクした。

彼女のニコっとしてくれた時に浮かびあがってくるエクボがたまらない。

相当惚れまくっていた。

タンゲとかからやめとけと言われても無理だった。

彼氏がいるとわかっていても無理だった。

もう略奪しようとすら考えていた。

アパート借りて一緒に住もうとさえ考えてた。

 

一応、彼女は当店「指名ナンバーワン」というお店の商品で

「商品に手を出すな」が掟のこの世界なのに

お店終わったら彼女とメシ食いに行き

思案橋通りを酔っ払って、堂々と肩組んで歩いたり

店のマネージャーとかお客に見つかるかもしれない無警戒さは日に日にエスカレートしていた。

 

「バレたらヤバかぞ」

 

メンバーからもちょくちょく警告が入っていた。

 

 

 

 

 

そんなある日、突然彼女が

福岡にある支店の「中洲モモタロー」へ転勤になるかもと言い出した。

 

「えっ?」

 

 

 

僕は事の成り行きをよく理解できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continued・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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