(注:上の写真は現在の桃太郎です)
当時は僕が20歳位の時だから
1983年頃、
岡山を拠点に
紳士の社交場キャバレーをチェーン展開し
<西日本最大のマンモスキャバレー>
と、自信を持って謳っていた森川観光グループ。
その森川観光グループが演出するマンモスキャバレー【ニュー桃太郎】は
その謳い文句通り、きらびやかでド派手な世界だった。
ひょんな事からある日、僕は呑みの帝王「エンペラー・マンドン」さんに誘われ、キャバレーニュー桃太郎へとお付き合いさせてもらう事になった。
キャバレー・ニュー桃太郎
キャバレーというのは、ボウヤとしてステージの袖から観ることはあっても
客としては行くのは初めての体験だった。
なんだか豪華客船の旅にでも行くかのようだ。
とてつもなくワクワクしながら「エンペラー・マンドン号」の大船に乗った気持ちで、キャバレー入口へと階段を登るマンドンさんについていった。
自動扉が開くと、音楽とタバコの匂いと共にザワザワとした活気が伝わってくる。
ムーディーな照明の店内へ入り、回りを見渡すと
300人程収容できる場内はほとんど満席。
ソファーに座っているのは、ざっと見たところサラリーマン風な男や若い男、他、長崎の街らしく船乗りさんぽい人達が多い印象だ。
案内へ来たホールマネージャーは、マンドンさんの顔見知り。
さすがは、おみずの業界人
「エンペラー・マンドン」の威厳を覗かせる。
思案橋通りを歩きゃ「呑みの帝王」としていろんな人から声を掛けられ気を良くするマンドンさんは、
ここに来ても鼻高々にアニキ面をし
「かつのし〜ん」と、
僕に向ける【ドヤ顔】が絶えない。
席まで案内される間、僕はフロアの様子を興味深く観察していた。
お客さんの隣に座るドレスを着たホステスさん(現在はコンパニオンと呼ぶ)は、
お酌をしたり、少なくなりかけの水割りを作ったり、煙草に火をつけたり。
接客している光景はいつも見ている「キャバレーミナミ」となんら変わりはなかったが
全体的なパッと見の雰囲気は
キャバレーミナミの【ヤング版】
という第一印象を受けた。
まずライト(照明)関係が目をひいた。
ソファーの並ぶフロアの奥にはドーンとデッカいステージが構えている。
真ん中が階段になっている3段のひな壇ステージ。
ネオン管が所々に散りばめられ、
音楽とシンクロして赤、青、緑、オレンジの光が動き回る。
スローになるとブラックライトが灯りミラーボールの光がゆっくりと場内を包み込む。
音と光の司令塔はどうやら2階にある照明室のようだ。
お客さんを夢の世界へといざなうライトの演出がキャバレーミナミよりも断然豊富だった。
ステージは1階からも2階からも観れるようになっている。
写真はイメージです。
僕とマンドンさんは1階と2階を繋ぐイルミネーションの螺旋階段を登り
2階のソファーへと案内された。
2階も賑わっているなー・・
300人収容できる「ニュー桃太郎」がほとんど満席なのも理解できる気がしてきた。
TVのローカルCMでも「ニューモモタロウ〜♪」とガンガン宣伝してるし、
ホステスさんも若い娘多いし。
すると場内が一転、暗くなり
大音量のイントロと共に緞帳が開く。
ステージから登場したのは桃太郎の女性専属歌手だ。
酔っぱらっちゃったフリしてい〜るわ〜♪
照明室から流す大音量のオケで歌いだした。
その音響の良さとデカさにも驚いた。
だが、何故バンドで歌わないのだろう?
キャバレーミナミでは「香地邦彦とファンキーナイツ」という専属のフルバンド(BIGバンド)がいて、
専属歌手もそのフルバンドをバックに歌っていたのだが、、
???
そこへ、疑問を遮るように
「はじめまして〜ルミでーす、サリーでーす!」
キラキラしたドレスの同年代くらいの若い2人の娘が僕とマンドンさんの隣に来た。
僕らのテンションは更に上がったのは言うまでもなく
僕はエンペラー・マンドンさんにウィンクで感謝の合図を投げかけ
寅さん似のマンドンさんは嬉しそうな笑顔で
「かつのし〜ん」と言わんばかりに目が更に細くなり
超ハッピー&ゴキゲンな夜に四人はカンパイした。
このマンモスキャバレー【ニュー桃太郎】に僕は
今通っているキャバレーミナミにない【なにか計り知れない新しさ】を感じ始めていた。
to be continued・・